医院名 |
医療法人社団 村重医院 イリョウホウジンシャダン ムラシゲイイン |
院長 |
村重 武美 |
住所 |
〒756-0836 山口県山陽小野田市須恵1丁目12-10 |
診療科目 |
内科、脳神経内科、リハビリテーション科、放射線科 |
専門外来 |
もの忘れ専門外来 |
電話番号 |
0836-83-3706 |
自動車免許証返納(その2)
泥縄式
自動車免許証返納(その1)
最近、高齢者の事故のニュースが多いようです。
このため免許証返納がよく紙面をにぎわせています。
これは布石でしょうか、返納の誘導・指導を「かかりつけ医」「専門医」に求める方向で国は動いているようです。
しかし、都会ならいざ知らず、車が唯一の移動手段である地方はどうでしょうか?病院にも行けず、買い物にも出ることができない状態となるのでは?
自動車免許証返納の動き
血液検査から行う検査とは?
これを、軽度認知障害スクリーニング検査といいます。
認知症が生活習慣病のひとつと考えられるようになったため、早い段階から、適切な生活改善や治療を行えば、認知症にかかる危険は減少すると考えられており、この検査がマスコミにも取り上げられたと、土手医者は、ひとりつぶやいております。
興味ある方は当院の電話番号83-3706してみてください。
最近の認知症の検査はここまで進歩した
私が学生の時、認知症で有名な長谷川和夫教授の授業で、初老期痴呆(初老期認知症)はアルツハイマー病とピック病(今の前頭側頭葉型認知症)は1:1と教わりました。鑑別は、丁寧すぎる会話か、攻撃的な会話・人格変化に神経心理・生理学的検査の組み合わせからするとのことでした。これはその当時、認知症の原因がまだはっきりとはしていなかったためと、土手医者は勝手な解釈をしていました。
2000年頃より、アミロイドβタンパクやタウタンパクαシヌクレインが、認知症に関与といわれ始めており、血液検査で判定ができるようになりました。当院もさっそく、この検査を取り入れることとしました。
認知症の周辺症状に関して、こんな時どうする?
母親思いの娘の例
独居の母親、隣家に息子夫婦。県外に娘。キーパソンは息子夫婦、症状は物忘れ。嫁と共に受診し、物忘れ以外、火の不始末(薬缶の空焚き等)や同じものを買う(買物)など症状はほとんどなく自立に近い状態。息子夫婦、娘と面談をし、なるべくお母さんの目線で話をするのがよいと説明。(以前つぶやいた「同じ土俵に上がる」のとは意味が違います)。
親孝行の娘さんは色々な本やテレビの情報を自分なりに昇華、実践されました。例えば買ってきた本を1時間くらい音読させたり、または計算ドリルや漢字ドリルを毎日のようにやらせたいと。繰り返す話に対してはそのたび制止されたようで、私(娘)の指導が良いから話を繰り返すことはなくなったとのこと。
果たして娘さんの行動は正しかったか?
答はNOです。母親思いが原因で周辺症状が出現。本人のプライドを傷つけてしまったため徘徊、不眠、介護者への攻撃的行為などの周辺症状が出現しとうとう施設入所となってしまいました。土手医者の家族への説明の仕方が悪かったのだと悔やんでいる次第です。
「同じ目線で話をする」と「同じ土俵にあがる」は全く違います。残された能力の範囲内での生活に適応させることが肝心と思われます。「同じ目線で話をする」はこのことを言いたいためです。
認知症の周辺症状に関して、こんな時どうする?
よく外来で認知症の家族が訴えられるのは、「夜、寝てません」「夜、部屋でごそごそしています」など不眠に関しての事が多いようです。
土手医者はいきなり睡眠剤の投与はしておりません。
なぜか?それは睡眠薬服用中に覚醒しトイレでもいこうとしたとき、よく転倒するからです。転倒?すなわち睡眠薬服用をしないで転倒する方より骨折のリスクが高くなるため、なるべく始めから投与は避けております。
では、こんな時どうする?
まず日中寝ていないかどうかを確かめます(大半がうたた寝を含め寝ておられます)
日中寝ていたら、起こしておけばよいわけで(日内リズムをつけること)、なるべく声かけや単調な生活を改善すればよいと思われます。我々もそうです。昼寝でもした日には眠れないのが普通です。日内リズムが乱れるために起こる生理的現象と考えればよいわけで、なにも認知症の方に限ったことではないと考えます。
日中寝てないといわれると、夜、過激なドラマやニューステレビを見てないでしょうか?ラジオ番組も然り。喫煙やコーヒー(紅茶、緑茶等)も睡眠障害の原因となると考えられます。
いずれにしても、日中の生活環境の改善からだと土手医者は思います。(睡眠薬などに造詣の薄い土手医者の言い訳かもしれませんが)
認知症の周辺症状に関して、こんな時どうする?
以前こんなことがありました。隣近所の人がある家のお嫁さんに「お宅のおばあさんが家に来て、嫁が食事をさせてくれないと訴えてきた」「ちゃんと食べさしたら、どうなの」といわれたがきちんと食事はさせているのに心外だと思ったが、何回もこのようなことがあったとのこと。もしかして認知症かと思い当院に本人を連れて嫁さんが受診。この時に認知症と診断。
さて「食事をしていない」に対して、こんな時どうする?
聞き流す事が肝心です。(同じ土俵に上がらない)
認知症の方は簡単な事は理解できます(逆に複雑な事柄は不得意です)。これを利用いたします。
たとえばお茶を飲ませる(一服する)この時に色々な世間話をする、洗濯物をたたませるなど。それによって食事の事を忘れさせるようにするとよいでしょう。
くれぐれもいいますが、同じ土俵には上がらないことが重要です
後日談:このお嫁さん、土手医者が言ったようにしてみたとのこと。それからは隣近所に行って「食べさしてくれない」等の言動は減ったとのことでした
(外来でも診察が終わったとき、こうつぶやいております:同じ土俵にあがるなと)
レヴィー小体病に関しての続き
幻視や妄想が主体の認知症といわれていますが、アルツハイマー型認知症との違いは、非認知症症状にあるとおもわれます
そのひとつは、頑固な便秘、そして血圧の変動からくる立ちくらみ、歩行障害(よく転ぶ)、発汗異常。これらがあればレヴィー小体病を疑う必要があります
まずは、かかりつけ医(ホームドクター)に相談してみてください。
薬としては、ドノペジル塩酸塩が効果ありますが、完治を望む薬ではありません。
現在、レヴィー小体病は認知症の約20%を占めています。アルツハイマー型認知症を追い抜く勢いです。
続きはまた次回機会があれば・・・・・・・・・
前回に続き認知症に関してぼやきます。
4大認知症というのがあります。
1)アルツハイマー型認知症
2)レヴィー小体病
3)脳血管性認知症
4)前頭葉側頭葉型認知症
この4つです。
レヴィー小体病は最近テレビでも取り上げられ話題となっている病気です。
幻視(見えないものが見える)、妄想(作り話が本当の出来事となってしまう)そして変動する認知症症状に加えて歩行障害や繰り返す転倒を伴った認知症です。